さまざまな業種において独立開業・新規事業展開をする際、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを活用する人が増えています。士業のひとつである弁護士業の場合でも同様の傾向です。このページでは、その理由について説明しています。
弁護士が独立開業して新しく事務所を構える場合、ビルの一室をオーナーから借りることが一般的でした。けれど最近では、とりあえずはレンタルオフィスから始めてみる、という考えを持っている人が多くみられます。その最も大きな理由は、「コスト」です。
弁護士はたいてい、弁護士資格を取得して弁護士登録を済ませると、まずはどこかの弁護士事務所に所属して、一定期間勤めます。将来的に独立開業することを視野に入れている場合でも、いきなり独立開業するよりは、学びながら経験を積み重ねておいたほうが良いと判断するからです。
ただその間、事務所の経営をしているわけではないため、独立のための資金作りをした場合でも、多額の貯金は難しいもの。もちろんケースバイケースではありますが、数年所属しただけで、都内の一等地などにあるビルの一室を借り受けて事務所を簡単に開設できるほどの資金を貯めるのは至難の業だと言わざるをえません。
だからこそ、比較的リーズナブルな料金で利用できるレンタルオフィスが、独立・開業を目指す弁護士たちから支持を集めつつあるわけです。
弁護士業務の性質上、個人情報を含む機密情報の管理は特に重要です。漏えいが許されない資料や情報の扱いには、細心の注意としっかりとした管理体制が求められます。
レンタルオフィスの中には、個々のレンタルオフィススペースだけでなく、オフィスが入っているビル自体のセキュリティーが高いことをウリにしているところもあります。そのため、事前にレンタルオフィスの調査をしていれば、高い機密性を期待できるのです。
また、セキュリティーがしっかりしていることがクライアントに伝われば、安心感を与えられ、信頼感へつながるというメリットもあります。
クライアントとの打ち合わせを行うための環境が整った会議室が併設されているかどうかも、重要なポイントです。レンタルオフィスを一部屋、独占的に利用できる契約だと、大人数が参加する打ち合わせが必要となる仕事の場合、外部の会議室用スペースを借りる必要があります。そのため、会議室の利用可否も大切なポイントになるのです。
イベントやセミナー開催と、クライアントとの打ち合わせとでは、その性質が異なります。
弁護士事務所の会議室としては、「セキュリティーがしっかりしていて、かつある程度の高級感や重厚感のある空間」がやはり理想的です。クライアントからの信頼感を損なわないためにも、レンタルオフィスが入っているビル内で利用できる会議室があるかどうかが重要なのです。
ハイクラスなイメージや信頼感を築くためには、一般的に理想とされるのは都内や大都市の一等地です。弁護士業務の品質が何より大切なことに変わりませんが、弁護士事務所に対しては「格調高さ」を求める人は少なくありません。また、一等地とされる場所は、交通アクセスもよいため、クライアントに選んでもらいやすいというメリットを持ち合わせているのも確かです。
一等地にオフィスをかまえるのが理想的だとはいっても、銀座や青山などのエリアにあるビルの一室を借り受けるとなると、コストがかかります。経営状態が安定しないスタートアップ時に「ブランドエリア」にこだわり、多額の資金を投入するのはあまりにハイリスクです。
しかし、レンタルオフィスならば、一室を借りるよりも低価格で理想的といえるエリアに弁護士事務所を開設できます。ですから、独立開業のスタート時点では、強いこだわりを持たずに、気軽に利用できるレンタルオフィスを活用するのが、賢い選択だと言えるでしょう。
一等地にこだわるのではなく、「弁護士業務を行う上で便利なエリア」にあるレンタルオフィスを選ぶ、という考え方もあります。弁護士会館や裁判所が、弁護士事務所の近くにあれば、業務をより効率よく、時間を節約しながら遂行しやすくなるためです。検察庁が近くにある・アクセスしやすいというのもスムーズに仕事を進めるためには有利だといえるでしょう。
周辺にある施設までのアクセスのしやすさを中心に事務所を構えるという方法もあるわけですが、この場合も、ビルのオーナーから事務所としてピッタリの一室を借り受けるのは容易ではありません。セキュリティー・高級感・コストのこれら3点すべてが理想的な形でそろっている物件を見つけるのは、至難のわざです。
一方、レンタルオフィスであれば、条件を満たしたものを見つけやすいのが実情です。ですから、この場合も、やはりレンタルオフィスを活用することをおすすめします。
コストに関して多くの点で有利なレンタルオフィス。実は、レンタルオフィスには他にもうれしい利点があります。それは「ビジネスをスタートするまでにかかる時間・手間を省ける」システムになっていることです。
弁護士事務所を運営していく上で欠かせないのが、電話対応などを担当するスタッフです。特に、信頼・信用が大切な弁護士業務においては、事務スタッフの人手不足で「連絡がつきにくい」「細かいミスが多い」といった理由はクライアントが離れる理由となり得ることは、容易に想像できます。 しかし、正確さと慎重さをもって電話対応をこなすには、弁護士本人が片手間に行うには時間が足りません。だからといって、事務所を立ち上げたばかりの時点では、スタッフを雇用するゆとりがない場合が多いのも事実です。
そんなときに頼れるのが、多くのレンタルオフィスが提供している「事務代行サービス」。電話対応などの質を上げられるだけでなく、人件費削減という観点からも、業務をサポートしてくれるサービスです。
レンタルオフィスであれば、すべての備品を一から揃える必要はありません。ビジネスを行う上で必要な備品・設備があらかじめ設置されているため、購入にかかるコストや手間を省けます。オフィス家具やOA機器選びで悩む必要がないため、すぐにでもビジネスをスタートする環境が整っているわけです。